猫のホテルプレゼンツ 表現・さわやか「そこそこ黒の男」

2006年12月10日/大阪・精華小劇場

猫のホテルより派生、池田鉄洋によるユニット「表現・さわやか」第三回公演は初の大阪上陸。コント(というかおもしろシチュエーションストーリー)を何本も連ねて、これぞイケテツ、これぞ表現・さわやかという面白さ。
千秋楽も終わって映像化や再演がない限りもう観られないんだけど、コントという性質上、一本一本説明しながら感想を述べるというのは正直言って野暮としか言いようがない。だってこんなもん説明できないし、役者の面白さも半端ないから、言葉にしても面白くない。
コントの内容は一本一本濃密、ベタからシュールまで幅広く揃えて、とにかく見本市状態。おかげで役者もかなり無理してんじゃないかと思うぐらい様々なキャラに挑戦。どのコントも中途半端はなし、全部始まった瞬間から暗転までフルスイング。どれもこれも考えたイケテツさんの思考回路を疑いたくなるようなぶっ飛びっぷり。でも、決してすぐ下品に走ったりするわけじゃなく、なんか品があるのが素敵。そのコントの脚本に多分相当味付けしてるであろう役者陣の、やっぱりフルスイングしている演技に爆笑。おかげでさわやかどころか暑苦しく、むさ苦しい内容になってるのは否めない。
特筆すべきはコントの構成。ほとんどのコントが最終的に連なってひとつの物語を組み立てているのに愕然とする。しかも内容は案外ダーク。これが「そこそこ黒の男」というタイトルの意味と直結するからすごい。おまけに、コント自体はお洒落なのに、やってることが結構えぐいんだ。このえぐさが意外なほど適切。冒頭のコントに起こる事件は何気に結構怖いし。
音楽の使い方も印象的。コントの中で使われる「I'm too sexy」とか、メインテーマみたいに流れるcupsule「jelly」は耳に残る。このあたりがお洒落なところで、特に「jelly」をバックに踊りまくるエンディングは衝撃。というか圧巻。
演出のお洒落さ、コントの面白さ、物語のダークさ、全部トータルすると意外なまでにさわやか。なるほど、これが「表現・さわやか」か。ああびっくりした。次も是非大阪に!

役者。佐藤真弓、最年長とは思えない可愛らしさに衝撃。38歳!?いちいちリアクション面白い。いけだしん、キャラの濃さと暴走っぷりは随一。笑わないほうが無理。村上航、ぬぼっとした風貌で、思わぬ飛び道具。岩本靖輝、普通なのがこんなにおかしいってどういうことだろう。菅原永二、主役みたいなポジションで遊ぶ。ヘタレ面白い役がほんとにはまる。伊藤明賢、男前なのに崩し倒してびっくりする。タップダンサーとしての実力も発揮。池田鉄洋、出番は少なかれど印象強。NANAのコスプレの破壊力は異常。