「Mの悲劇」

第2話『もうひとりの婚約者』

見終わったあと疲れるドラマでは恐らく今期一ではないでしょうか。しかしとにかく面白いのです、良くも悪くも面白すぎる。というのも、怖いのにコミカルな演出になっていますし、コミカルなのに怖い演出になっているのです。しかしその演出があるからこそ、本当に怖い部分が「怖く」見えてくる。しばらくぶりに見る日曜劇場枠ですが、ここまで変容してしまっていたのかと正直驚いております。
で、第三話ですが、主人公の迂闊さに尽きます。異常に用心深いという設定なのに、ついつい女に騙されてしまう男。まあ男なら分からないでもないです。だって長谷川京子が海でピアスを探しながら涙を落としている訳ですから、騙されない男なんていませんよ。そりゃ思わず土下座しますよ。だがそれが迂闊だった……。思わずテレビの前で唸ってしまう展開は、その突飛さもあって、超脚本であると言えます。しかし超脚本でも、超脚本のままでは終わらないと信じています。様々な要素を内包しているからこその面白さに期待。まだ序盤ですし、ここからのストーリーの転がし方によっては大傑作になり得ます。で、今回で一番感じたことですが、男の心理描写について描き方が鋭い。女に騙されてしまう男の哀れさというか、その愉快さもきっちり見せてくれています。それでいて心理描写だけで終わらないところも秀逸だと思います。第三話もきっと疲れさせてくれるんでしょう。いよいよ成宮扮する警備員がストーリーに絡んでくるということで、これまた楽しみです。