劇場版テニスの王子様 ふたりのサムライ TheFirstGame

(ネタバレ隠してません!注意!)

大爆笑。

最高です。別の意味で。これを本気で作ってしまったスタッフに乾杯。どこまでネタでどこから本気なのか判別不能

さて今回、原作をちっとも読んだことがなくアニメも観たことがないこの天霞樹が、映画館ではじめて「テニスの王子様」に挑戦したわけですが、いやー面白かった。もはや「こんなのテニスじゃない」なんて突っ込むのは野暮ってもんです。突っ込んだら負け!もうどこから書き始めていいかわからない面白さ。まあテニスマンガとしての面白さはそれほどでもないと言ってもいいんですが。完璧にコメディ。でもそれでいいんです。面白いんだから。まあそれはファンでもなんでもない俺の言い分だが。すごくシリアスに始まったかと思いきや、結構ギャグを交えてストーリーは展開し……って前半はそれほど濃いわけじゃないです。悪党に船上試合のお誘いを受けたら、それが実は八百長試合の依頼で、そんなのやってられっかオラーっていう話ですから。問題はエキシビジョンマッチが始まってから。もうめっちゃくちゃ。最高。もう観客置いてきぼり。一体何を目的に作られたのかすら分からない。「マトリックス」から様々な作品に頻繁に用いられてきたカメラの「あの動き」ですが、それは当然あり。テニスボールが妙な動きをするなんて序の口。まったく知らなかった俺はその段階で笑いがこみあげてきていたわけですが、そんな俺とは違って映画館内は意外と静か。こっちは笑いを堪えるのに早くも必死ですが。後で聞いた話によると、そんなもんは普段のテレビアニメでもしょっちゅうやってることだとか。マジかよ!
そんでもっていよいよ始まる超演出の数々。しかし俺がここでどれだけ文字数を割いたところで、その破壊力は少しも伝わらない部長の手塚(だよね?)がボールを打てば、突如カメラは大宇宙へ。そこに手塚部長が浮かび上がったかと思えば、テニスボールみたいな隕石が登場。案の定地球に激突。この段階で俺は酸素不足に。しかし場内に笑い声は聞こえない。何だよそれ!俺のツボがおかしいのかよ!しかしそれだけではなく、地球には恐竜の姿が!何だよそれ!手塚はドラえもんを超えたということなのか。そうなのか。こうなると予想がつくと思いますが、案の定恐竜絶滅。もう何の映画を観に来たのか分からなくなってきた。対戦相手は吹っ飛んで悶絶、試合終了。なるほど、テニスコートの中だったら何でもテニスなんだな?と、これで少しだけ耐性をつけた俺ですが、それで終わる作品ではなかった!主人公であるリョーマと兄・リョーガのバトル(あえてここではそう呼ばせてもらう)こそが今回の最終兵器!ボールを打つごとに爆発炎上。人々は逃げまどい軽いタイタニック状態ですが、バトル中の二人はそんなことおかまいなし。竜巻火柱大波!テニスなのに水中戦!しかし水中でもボールは飛ぶぜ!もうだめだ、この映画は俺を笑い殺す気だとしか思えない。しかし相変わらず場内にそんな雰囲気はなし。おかしい!更に稲妻とともにボールは雲を突き抜け上空へ。もちろん二人とも翔ぶ。ボールをなんとか打とうとリョーガが近づけば、ボールパワーにより失敗、墜落。しかしリョーマは主人公なので絶叫、なぜか服が破けて全裸でスマッシュ。大勝利……ってもう笑いすぎて腹筋が……いつからテニスの王子様ドラゴンボールになってしまったのか!

まあここまでは軽く粗筋とネタバレを含んだレポートみたいになってしまいましたので、ここからは再び落ち着いてレビュー。テニスを使ってアクションやるバトルアニメなんだ、というのが個人的な所見。スポ根ものじゃないので、いわゆる「猛練習シーン」はないし、熱い男たちの云々……ってのもないです。やっぱりそれは、「スポ根ものにするつもりがない」ってことなんだと解釈。スポーツを題材にしたアニメとしてはすごくスマートですし。ドラマ部分は本当に回想シーンだけになっていて、それ以外はテンポ速すぎるぐらいの勢いでぐいぐい進行します。超演出を見せたいだけなんじゃないかと思ってしまうぐらいに。その辺りもやっぱり、ジャンルからの脱却を狙っているのかなと感じたり。まあ下手にドラマを織り交ぜて変な感じになるより、ずっと完成度の面でも高くてよかったんじゃないかと思いますが。ただ残念な点としては、「バトル」シーンにちょくちょく挟まれる回想シーンでテンポが悪くなったりするところでしょうか。描くべきところはしっかり押さえていたので、もっとがっつりやっても良かったかも。作画の方はわからないですが、やっぱりProductionI.Gが作ってるだけあって丁寧な印象。まあ映像的にも結構美しい感じはしました。テニプリといいナルトといい、テレ東ジャンプアニメの映画化はスタッフに恵まれるんだろうか。あとゲスト声優良かったです。山崎裕太は芸達者だなあ。西岡徳馬も徹底的に悪党で、安心して聞ける演技でした。ベテランの力量なんだと思った。あと大穴のインパルス。全然印象にない……笑いすぎてたからか。主題歌はSCRIPT「青春グローリー」でした。締めとしてはすごく綺麗にまとめてくれている主題歌。総評としては、やっぱりぶっ飛んでて面白かったです。ここまで弾けていると、観ている方も自然に巻き込まれていくんですね……ここまでやってくれるとかえって清清しい。ちなみに短編の方はさっぱり分かりませんでした。まあファンサービスの塊みたいな印象。山崎樹範が出ていたらしいがどこにいたのか。声優がやたら豪華だ、というのも。どこに誰がいたのかさっぱりだけれど。
ひょっとするとDVD買ってしまうかもしれない、と思わせる出来。いやー面白かった。