THE 有頂天ホテル

三谷幸喜四年ぶりの新作映画は、ホテルを舞台にした群像劇。要するに、三谷幸喜のもっとも得意とする分野。出来上がったのは三谷作品の集大成(と、本人も豪語している)。とにかく笑った。張られまくった伏線が回収される快感も当然用意されている。さまざまなエピソードがすべてひとつにまとまってゆく構成には舌を巻く。三谷幸喜の過去作を観ている人へのサービス的なシーンも見受けられて、やっぱり集大成なんだなと実感。
キャストについて。個人的に注目すべきはオダギリジョー。怪演。角野卓造もテレビでは見られないコメディアンぶり。舞台出身堀内敬子はなんかわからんが存在感あり。30代半ばとは思えないキュートさも発揮して松たか子と張り合っていた。ミスキャストがいないのも三谷作品の特徴。脚本の面白さを最大限に引き出す演者の実力も垣間見る。全員に見せ場が与えられているのもよかった。あと、脇役で少しだけ出てくる出演者ひとりひとりにも要注目。
2時間16分、引き込まれた。終わってほしくないと思った映画は久しぶり。三谷幸喜の底力をみた気がする。もうとにかく観てほしい、「喜劇映画の傑作」。