UDON

久しぶりにフィーリングで素敵だと思った映画。「CASSHERN」以来、ということは映画としてみると完成度はどうなんだろう。自分は、あくまで自分としては大好きなんだけどね。
ここまで疑問を書いてみたけど、内容は意外とストレート。王道も王道、笑いも泣きもカバーしますという構成。「うどん」にこだわることなかれ、これは「人それぞれのソウル・フード」の物語。たまたま主人公の(というか、本広克行の)ソウル・フードが「うどん」だっただけの話。だから自分は「もっとうどんについて掘り下げてほしかった」という意見にはあまり賛同しない。
ただ、本広克行ソウル・フードがうどんであるなら、もっとしっかり描くこともできたはず。自分は、この映画を「本広克行が『お前らソウル・フードのひとつぐらいあんだろ?』って訴えかける映画」だと思ったので、別にこの完成品にそういう文句をつける気はない。というか、そういう意味ではすごく面白かった。ブームの発生と衰退とか、すごくリアルに描いているし。多少デフォルメすることで面白くなってるのはすばらしい。あと、微妙に二部構成みたくなってるきらいもあるんだけど、前半部分が割と効いてたりとか。が、脚本が詰め込みすぎて薄くなってしまった感はあり。エピソードを詰め込んでしまった結果、多少まとまりには欠けたかも。その割には小ネタをばらまいたりしてるけど。でも、締めるとこはちゃんと締めている。
本広克行が気合い入れたであろう、映像的な面白さは「Captain UDON」のシーンで堪能。凝ってるんだか凝ってないんだか、CG隠したいのか派手に使いたいのか、わかんない。色々感想を見ていたら、「これは本広が『立喰師列伝』をやりたかっただけだ!」という意見もあり。立喰師〜ってこんな映像なのか。でも自分の思い入れのあるものをここまで一般向けの娯楽に仕上げてみせたのはさすが。あと冒頭の掴みは完璧。ああいう演出はなぜかものすごく冴えている気がする。
役者。ユースケは真下正義以上のはまり役かも。小西真奈美はコメディエンヌとしても魅力あり、今後にも期待。トータスはワンシーンのためのキャスティングのような気もするけど、手堅い芝居で好印象。升毅、情感たっぷり?な台詞回しはすばらしい。片桐仁要潤。今回ふたりして堂々の儲け役。笑いをとり。永野宗典、脇役ながらグッドポジション。木場勝己、さすがの貫禄。押さえるところは押さえて、ひっそり熱演。
あとカメオ出演。「サマータイムマシン・ブルース」は絶対観ておいたほうがいい。あとはフジテレビならではの豪華キャスト揃い踏み、あまりに微妙な豪華さにくらくら。演劇で頑張ってる役者も大量投入。福田転球はどこにいたんだ?