デジモンアドベンチャー

至福の20分間!とことん凝縮されたストーリー展開に、巧みな映像の繋げ方から生まれるテンポ。
20分っていうと、テレビアニメ一話と同等(むしろ少し短い?)の長さですが、起承転結がきちんとある!事前に尺は分かっていたはずなのに、物語として面白いものに仕上げた脚本に感動。この尺だったら、絶対投げ出しちゃう脚本家もいるって。本当に必要最低限の起承転結だから、ドラマ部分はほぼないんだけど。
しかも、その脚本を見事に20分の尺に押し込んでみせた演出。構成に無駄がないのは勿論のこと、前述の通り映像の繋げ方が凄い。ワンシーン切り取っても映像的面白さはあるし、それらが繋がると絶妙なテンポになる!詰め込んでる感じは否めないけど、演出が脚本をさらに活かしている感じです。
特筆すべきはその音楽。なんと音楽が一種類しかありません。しかもそれがラヴェルの「ボレロ」。誰でも一度は聴いたことがあるこのメロディを、見事に作品世界に組み込ませたのは演出の力量なのかなあ。とにかくこれ一曲(まあ楽器の増減はあるけど)のボリュームで緩急をつける、その巧さといったらもう観てもらうしかないか……。
で、細田守の作品づくりのスタンスとして、「映画一本で完結していて、それだけ観ても楽しめるものを」ってのがあるようです。この作品は彼の劇場版監督第一作で、やはりそのスタンスを通しています。何の知識がなくても面白いです。ただ「進化する」ぐらいは覚えておくといいかな。