デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!

至福の……なんと第2弾は40分!二倍!二倍!60分を想定して書かれたという脚本を40分に詰め込むという荒技をやってのけたのは、またしても細田守。この男、やっぱり凄すぎる。
40分、第1弾は短編でしたが、第2弾にあたる今回は中編です。普通のテレビアニメを25分と仮定すると、1.6倍です。長くないです。むしろ劇場版アニメーションとしては短いぐらい。というか観てみれば、明らかに短すぎる、という印象すら生まれるかも?
脚本は第1弾のエッセンスを巧みに取り入れて、なおかつドラマ的要素を追加することに成功。しかも登場人物から考えて第1弾の比ではありません。しかし、その登場人物をさばいた(さばけていないんですが)、その方法はまさに目から鱗です。全員を活躍させない、という型破りな手法。少なくとも、テレビシリーズの映画化としては明らかに異色です。でもそれが今回の勝因は、まさにそこにあり。活躍させるキャラを絞る、というのは確かに上手いやり方です。そのおかげで、多少余裕のある起承転結が実現。多少駆け足ながらもじっくり描かれ、しかも無駄のない構成。それでいながら、本来のターゲットである子供に受ける仕組みもきっちり組み込んでいて、まったく抜かりがない……。
映像も相変わらずで、センスの良さが冴えます。映像で緩急をつけたりする巧さも相変わらず。観応えのある内容になっているのはその所為か?ぐいぐい引きつけていく巧みさは、やはり演出の妙。冒頭でボレロが流れたり、音楽の付け方もいちいち細かくて感心できます。
この作品も単独でSF。デジモン分からなくても面白いです。第1弾を観ておくと咀嚼しやすくなるとは思いますが。観ていて心地良い、久しぶりに傑作アニメに出会った気分です。