ONE PIECE THE MOVIE デッドエンドの冒険

実は三回目の鑑賞となる「デッドエンドの冒険」。個人的には映画版の中では一番好きです。
サバイバルレースという題材をとった割にはそれを生かせていないとか、ストーリー的に突っ込みたくなる部分もないわけではないんだけど、やっぱり単純に面白い。原作をなぞったまんま、という意見もあちこちで見かけるから、やっぱりこの面白さのタネは原作にあるんだろうか?
展開としては本当に少年漫画で、きっちり作品としての作り込みが出来ているので、安心感はあります。逆にその作り込みが「原作コピー」という批判を受ける原因かもしれませんが。まあそれすらも出来ていなかった、某呪わ……いやなんでもありません。原作のエッセンスを巧みに取り入れているのは間違いなく、純粋に主人公VS敵の構図を作っているあたりも評価できたり。主人公であるルフィに焦点を当てているので、ゾロやサンジの戦闘シーンを思い切ってバッサリカットしているのも成功。魅力的なキャラクターのほとんどが脇に回ってるようなきらいさえあるけれど、そっちのほうは、原作でもテレビシリーズでもきっちり見せてくれているしね。活躍させるキャラクターを絞る、というのはひょっとして東映アニメーションの得意技なのかな。でもま子供向けに作られてる映画である限り、やっぱり分かりやすさってのは重要。
ONE PIECEなんで、当然暴力シーンは結構あります。全体的な雰囲気として、暴力に肯定的な脚本になってしまっていることも。ただアクション要素が肝の作品なんで、そんなことにグダグダ言っても仕方ないというか。暴力抜きのONE PIECEなんて、っていう感すらある。でもその暴力シーンが陰鬱な方向にほとんど作用しなくて、むしろ少年漫画特有のカタルシスすら得られるのはすごいことです。ただの暴力シーンに終わらない味付けがなされるのも、この作品の名作たるところを示している、と個人的には思う。
とにかく、結構だらだらと書いてみたけれど、そんなのまったく要らない、っていうのが素晴らしい。ONE PIECEの王道をうまく攻めている、その証拠であるような気さえします。ただ一本で完結しているか?と言われればそうではないので、多少の予備知識はいるかも。テレビのオリジナルに呆れているような人にもお薦めしたい一作。