クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル

この作品はちょっと異色作かもしれません。面白いことは面白くて、そういう意味ではクオリティが高いのだけれど、自分としてはしっくり来なかった。
構成としては、今までと結構似通っている。でも、ストーリーの流れとしては、「ONE PIECE オマツリ男爵と秘密の島」を思い出したりした。*1っていうか今のところ最新作だし。脚本としては、この作品も結構うまく書かれています。起承転結もしっかりしているし、導入部の劇中映画と、メインストーリーがシンクロしたりするのも面白いです。
更に、必要以上に書き込まれたパラダイスキングのキャラクター。彼絡みの音楽もギター使ってたりして無駄に格好いい。キャラクターがこんなに濃い敵キャラも珍しいです。ただ、完全に悪。最強の悪役。でもなぜか憎めなかったりする。愛嬌があるからかなあとも思うのですが、これは全体的にキャラ造形の奇跡。大塚明夫*2が声を当てていて、かなり演技も弾けている。
アクションも今回はほぼ100%肉弾戦。でも今回のアクションシーン担当は、ほとんどアクション仮面パラダイスキングしんのすけ辺りは、中盤からクライマックスまで出番があんまりないぐらいです。でもそのぶん、活躍し始めると出ずっぱり。しんのすけアクション仮面VSパラダイスキングのラストファイトは文句なしに面白いです。
ただ今回の脚本で自分が首を傾げたのがひとつ。これまで家族愛や仲間愛を描いてきたクレヨンしんちゃんシリーズにおいて、この作品は異色。確かにこういう形での仲間愛もあるんだけれど、どうもしっくり来なかった。しんのすけアクション仮面に憧れているものだ、と自分が思っているからなのかな。憧れと愛とでは明らかに違いがあるだろうし。
クレヨンしんちゃん」スピンオフ企画的な印象も受けた。良くも悪くもアクション仮面の映画。それを許容できるかどうかが鍵かも。

*1:もっとも「ONE PIECE」のほうがずっと新しいんだけど

*2:そういえば、オマツリ男爵もこの人だったな