カムカムミニキーナ旗揚げ15周年記念公演「越前牛乳」

2005年11月12日/大阪・シアターBRAVA!

濃厚、胃もたれするほどにテンションの高いコメディ演劇。関西の小劇場系劇団カムカムミニキーナ、大阪公演で関西スピリッツ全開。松村八嶋はもちろんのこと、多くのキャストが大暴れする2時間40分。時として舞台は方向性すら見失う異常事態に。
ハイジなのか時代劇なのかはたまたパロディ中心バラエティなのか、とにかく「面白ければよし」みたいなテイストを詰め込んだ作品。主演は藤田記子、落ち着いた演技で安心して観られた感じ。ただそれすらも松村八嶋コンビはぶち壊しにかかるのだ!笑いを誘うのは松村八嶋だけではなく、吉田清水山崎も全員暴れる。清水宏はゲストであるにも関わらず、ナレーションを兼ねた「ギター侍」。客席まで降りてきてのサービス精神。吉田晋一は手堅い遊び方。山崎樹範、体張ったりしてテレビに出る時からは想像もつかない大暴れ。いや、これがめちゃくちゃに面白い。
松村武、脚本家であり演出家であり俳優であるという一人三役。カムカム主宰。舞台上を走りまわり飛び跳ねる怪演。八嶋智人、びっくりした。身長低い?とんでもない!松村とのかけ合いは絶品。とにかくすべてが速い速い。テンションの高さも随一。ひたすらに面白さを追求してる眼鏡王子。松村武と八嶋智人、このふたりによって支えられている部分はとてつもなく大きい。
脚本の方は確かにテーマ性に欠けたりもする。笑いによって覆い隠されているのだが、笑いの比重が大きすぎるゆえに、そもそも脚本の本筋すらも見失うこともしばしば。しかし、みのもんたよしのりのパフォーマンスやら、アドリブによるおもいっきりテレビやらの破壊力は凄まじい。脚本を見失ってもなお、力技によって芝居は続行されるのだ。いやあ驚いた。役者たちのトークライブと化す瞬間も見受けられたりするなか、最終的に脚本はベターなところに着地する。しかしそのベターさも含めて、越前牛乳という作品だった気がする。やられた。
役者たちによって助けられる面も大きかった!すっかりカムカムミニキーナの虜になって劇場を後にしたのでした。次の公演も観に行ってしまうのだろうな……。