ヨーロッパ企画 第20回公演「Windows5000」

2006年4月2日(千秋楽マチネ)/名古屋・七ツ寺共同スタジオ

  • 作・演出:上田誠
  • 出演:石田剛太、酒井善史、角田貴志、諏訪雅、土佐和成、中川晴樹、永野宗典、西村直子、本多力松田暢子、山脇唯/中川武教(ジュース)

映画「サマータイムマシン・ブルース」の影響か、東京公演はチケットが取りにくかったらしいヨーロッパ企画。記念すべき第20回公演。しかし、名古屋公演は思いの外取りやすく、逆に驚いてしまった。
内容。やたら凝った舞台装置。しかしそこで行われるのはストーリーなんてほとんどないような、上田誠曰く「覗き見感覚」の物語。とにかくネタを仕込みまくり、笑わせる構造。笑いのために舞台装置でも遊びまくる。しかし計算づく。余韻が残るネタの、多いこと多いこと。
ヨーロッパ企画の作品としてはほんの少しだけ長めか、2時間10分の脱力感。脱力するツボを終始抑えつづけながら、なんかストーリーを少しずつ組み上げちゃったりなんかする、このずるさ。絶対気づかないような伏線とか、全部回収した時にはまたこれが鮮やかに決まって……。なんか賛否両論は分かれそう。自分は賛だけど否。しかし思っていたものが出てこなかったという意味での否であって、こういう芝居だとわかっていればきっと手放しに絶賛していた。そういうものです。
演出としては映像も巧みに使ったりなんかして、演劇という枠をなんか押し広げてる印象。舞台上でできないことは映像でやれ、という割り切り方は嫌いじゃない。むしろ好き。で、その映像に気を取られている間に舞台上では人々が大忙し。それを想像するとまたシュールで、別の楽しみ方もできる?というか、最後に用意された大胆な舞台装置変更にはちょっとした衝撃。
役者。石田剛太、独特の存在感を発揮してなんか面白い。素敵な魅力あり。酒井善史、ズレてるけど普通な人を好演。親しまれる感じのタイプだなと思ったり。余談だけど、終了後の物販から察するに、素もいい人っぽい。諏訪雅、もう最初から最後まで出ずっぱりのおいしい役どころ。笑った笑った。中川晴樹、終盤のたたみかけは見事。遊びながらも本筋の誘導役。クセ者ながら大変気に入った。永野宗典、看板役者のオーラあり。登場人物の中でも少し浮いたキャラ。人形みたいな感じもあり、女性人気は高そう?本多力、滑舌よくなくてもその存在感は随一。いるだけでなんかいい。