吾輩は主婦である 第31話〜35話

「おざわ」「わかれ」「じぶん」「みのり」「いつう」

いよいよ物語も佳境の週、最終回までに短くても感想を書いておきたかった。
みどりの父親登場の回から胃潰瘍の回まで、エピソードは大きくわけて3,4個あるけど、続けて1話になっている気がする。1話あたり2時間半か、長いな。
「おざわ」「わかれ」は父親がらみ(「じぶん」もか)。ここにきて主人公のバックボーンを描いた話というか、この話を宮藤官九郎は書く気があったのだろうか。ひょっとしてこれも逆ギレの一環なのだろうか。そのわりにはしっかりいい話だし(笑いというオブラートに包んだ……)、見ごたえ十分。というか、悪役ポジションとして登場した父親も最後にはなんか憎めない人で。基本的にいい人ばっか。
しかしこのエピソードのたかしときたら本当に同情したくなる感じで、よくもまあこんなに切なくなれる台詞をこのぶっとんだ状況の中で紡げるものだと思った。やすこもちよこも、対父親戦ではとにかくいい。昼ドラっぽさを笑いで消しつつ、それ以上に「来る」台詞をちりばめ。観てもらわないとわからない、か?
ギャグは相変わらずなかなか脂がのっててよし。大江戸コール&レスポンス*1をドラマのなかに取り込んで消化するような力技も。これが案外しっくりきて面白いんだけど。あとはそれにまつわる「わかれ」での早送りなど、ギャグをさらにギャグにする演出もあり。一番ツボにはまったのはフランスのシーン。本当にくだらなかった。ばかばかしい。それがすばらしい。
「じぶん」は誰にとっての「じぶん」かというと漱石であり小松であり夜しずかであるという。久々に漱石の説教が炸裂。小松と夜しずかに比較的焦点をあてて、さらにこのふたりのキャラが濃くなった。なんか誰かに依存してない?っていう話だったのかな。そういう解釈をした。
「みのり」はたかし浮気の話。ここで夫婦にしっかりともう一度焦点。「いつう」冒頭とあわせて、浮気の話なのにものすごくあたたかい。実に感想が書きにくいけど、やはりいい話だった。とはいえ、本当に悲しい話かもしれないな、とは思った。誰にとってもよくない状況だということがわかる。で、やっぱり笑いも盛り込み。押し入れの中で漱石がたかしたちの話を聞いているシーンはまさにドリフ。ベタベタだけど非常にテンポがよくて面白かった。やはりこういう話になればなるほど、やすことひろしが和ませ要員。絵本も普通に良かったのだけれど……それも考えたのはやはり宮藤官九郎なのだろうか。もう絵本も書いてしまえ。斉藤由貴の演技はここにきて目を見張るものがふたたび。ちょっとやそっとではもう驚かないはずが。本当にうまいのな。
「いつう」は実質最終週への橋渡しというか終わりのはじまり。大きな勘違いがもとでひとつの結末へと収束していく感じは秀逸。これも笑いこそ盛り込んであっても基本的にはずっと悲しい。本当に、「せつない」と形容するほかないか。笑いながらも独特のなにかを感じた。
そしていよいよ問題の最終週が放送中。週末にまとめて……って、本当にもう終わりなんだな。