ペンギンプルペイルパイルズ「道子の調査」

2006年9月9日/大阪・in→dependent theatre 2nd

ペンギンプルペイルパイルズ、大阪上陸。観てから少々時間が経ったために、感想書きづらい気もしないでもない。
「開放弦」のわかりやすさとはまるで違って、わかりにくい不条理がウリの倉持裕全開仕様。時系列をごっちゃごちゃに乱しておいて、観客に「おまえら勝手に整理しろ」とは不親切すぎやしまいか。や、しかしこうやってごっちゃごっちゃしたものを観ながらリアルタイムでつなげていく作業は面白い。
行方不明になってしまった「以前の調査員」を探す「現在の調査員」、その過去の調査員と何らかの関係がある人々の物語。ちゃんと整理しながらついていければ、緻密に構成された脚本に驚かされること請け合い。そんな中でじわっと描かれる登場人物たちの人間性。割とドライな雰囲気で非日常な感じなんですが、出てくる登場人物たちは非常にリアル。淡々としてて冷たい物語だけど、一皮めくれば温かみに溢れている……という印象。笑わせる小ネタもまたマニアックだったりして、これも好みが分かれるかも。自分はすっかりツボにはまったのだけれど。まあ、うわあああわかりづれえええーーー、となるのは間違いないか。特に結末がわからなかった。未だにひきずっている。
このわかりづらさに慣れるために次の公演も観に行ってしまいそう。とにかく観客をひきつける要素は十分。ただ、多分関西は完全アウェイだし好き嫌いも分かれたはず。まあ、もともと好き嫌い分かれて当然、な劇団なんだけど。倉持裕は外部に書く時のほうが「わかりやすさ」を重視しているな、間違いなく。やっぱり自分のとこだとほんとに書きたいものを書いてるのであろう。
役者。玉置孝匡、作品のいいスパイスとなり。ジョークのシーンは見せ場か、割と有名なジョーク*1なんだけど、この語り口はすばらしい。加藤啓、何気に抑えた芝居で好印象。飄々としたかっこよさ。拙者ムニエルでのブチキレも気になる。ぼくもとさきこ、腹立つぐらいのいい人ぶり。いい人だけど使えねえ、っていう人物像を完璧に体現。小林高鹿、暴力的で優しい男を気持ちよく。男前なのにあえて崩した芝居をするなあ。内田慈、反則のかわいさ。女子高生姿にやられる。小悪魔っぽさが光り。吉川純広、売れ筋の若手俳優風な容貌に、小劇場役者としての演技がドッキング。これは注目。

*1:喉が渇いた男とラクダの話