嫌われ松子の一生 第1話・第2話

中島哲也が手腕を振るって見事に映画化してみせた「嫌われ松子の一生」、そのドラマ版。脚本は映画畑で活躍してきた成瀬活雄チーフディレクターは酒井聖博。
映画版で非常にざっくりやった修学旅行編をじっくり一時間かけて描いたのが第一話、悲惨な物語であるにも関わらず、割と正統派のシチュエーションコメディに仕上げた感あり。映画版が飛び道具的な笑いであったのに対し、味付けを変えてきたのは好印象。ひとりひとりの登場人物を掘り下げると、修学旅行編が案外渋い味わいに。佐藤B作の厭らしさ、笹野高史の面白さには目を見張る。物語そのものの「あーあ、やっちゃったよ」感も増幅。
つづく第二話は一話のコメディらしさが少なくなり、悲惨さを強調。でもただ悲惨なだけじゃなく、どこか作り物として冷淡に見られるドライさが。松子の恋人である八女川も深く描かれており、人情物語っぽさも漂い。とにかくエグい話になってきたのに、そのエグさをどこか中和してくれる。脚本演出はかなりいい仕事、演技はそれに輪をかけて。ゲスト、萩原聖人が完璧なまでのはまり役、最初の軽い感じから最期の哀しみまで体現。これがたった1話のゲスト出演での演技かよ。鳥肌もん。谷原章介は胡散臭さをうまくコントロール。こちらもなんとも絶妙なさじ加減で好演。北村一輝、古い時代の遊び人っぽい風情をこれ以上出せる役者はいないに違いない。
今後にも期待して、ここらで感想を終えておこう。是非一度。